2020年7月、東京商工リサーチの2020年上半期(1-6月)調査によると、人手不足に関連した企業の倒産件数は253件で、集計開始の2013年以来、上半期の数字では過去最多となったそうです。
どうして人手不足が原因で、会社が倒産してしまうのでしょうか?
今回は、人手不足に陥る原因と、当社が実践してきた「自社大学」という考え方についてお伝えしたいと思います。
人手不足の現状を理解する
近年、人手不足による企業の倒産が問題となっていましたが、2020年、新型コロナの影響もあり、さらに深刻さが浮き彫りになった形になります。
では、なぜ人手不足になるのでしょうか?
まずは、人手不足となる要因を考えてみたいと思います。
売り手市場になっている
2020年9月、日経経済新聞のニュースによると、厚生労働省が発表した7月の有効求人倍率は1.08倍だそうです。
この数字は、2014年4月以来、6年3カ月ぶりの低水準となるそうですが、この数字を見る限り、求職者1人に対しての求人件数が1件以上ある事になります。
つまり、働きたい人のほうが求人件数を上回っている「売り手市場」なのです。
そのため、人気の職種や、業績の安定している大企業を中心に求職傾向があり、知名度が低い中小企業や不人気の業種においては人手不足となってしまいます。
好待遇の会社が雇用している
私達にとって働くという事は、お金を稼ぐだけではありません。
自身が好きな商品やサービスを提供し、お客様に幸せになってもらう事で、自分自身もやりがいを感じる事ができ、楽しい人生を歩んでいけるのです。
当然ながら、より働きやすい環境、自分に合った時間、納得のいく報酬の会社に勤めたいというのは当然の欲求になります。
人口減少
少子高齢化の日本において、今後も労働人口が減少していく事は避けられません。
会社にとって働いてもらいたい年齢層は減り、これまで長年勤めていた高齢層が退職していく訳ですから、人手不足に陥るのは当然と言えます。
自社で育てられないかを検討する
ハローワークを介さないで求人する場合、求人サイトや求人誌等に広告を掲載して、募集していく事になりますが、年々、求人でも競争が激化しています。
そこで私は、「自社大学構想」を提唱しています。
これは、自社が持っている商品知識や販売ノウハウ、経営者の理念や会社のコンセプト等をカリキュラム化して教えていく事で、近い将来、自社の社員となる人材を育てていく考え方です。
半年間でプロのスタイリスト
例えば、ヘアカット10分1200円の「QBハウス」には、わずか6ヶ月間でプロのスタイリストスタッフを育てる研修制度があります。
カット経験のない人、長期間のブランクがある人でも、取り組む事ができ、6ヶ月後には店舗デビューを果たします。
ジュエリー職人をゼロから育てる
当社では、製造小売の傍ら、ジュエリースクールを運営しています。
趣味を広げたい、将来、手に職を持ちたい、ジュエリー職人になりたい、そう言った生徒さんが対象です。
ジュエリー製作はとても奥深く、私が作ったカリキュラムも、全部終えるには数年要するものです。
当社では、インターン制度を設け、意欲ある方をインターン生に引上げ、ゆくゆくは当社スタッフとして育成していきます。
自社大学構想のメリット
自社大学構想を取り入れる事で、求人にお金をかける必要が無くなるばかりでなく、様々なメリットを得る事ができます。
受講生との信頼関係が築ける
毎日毎週、顔を合わせて接する事により、受講生との信頼関係が築けるようになります。
もちろん、受講生の立場になって親身に寄り添う事も信頼関係を築いていくためには大切です。
不利な待遇面を有利にする
資本力の乏しい小規模事業者や個人事業主にとって、支払わなければならない給料や雇用時間については、最も大きな課題となる事かと思います。
自社大学で、受講生との信頼関係が築けていれば、雇用にあたっての条件の折り合いについても有利に進めていく事ができるでしょう。
永続的な人材育成サイクル
いったん自社大学の仕組みが働けば、外部要因に左右される事なく、人材を確保する事が可能になります。
自社大学で学び、雇用した人材が、自社大学の講師となるサイクルを構築する事ができたら、より有力な人材を永続的に育てていける事でしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は人手不足に悩む企業において、外部要因に左右されないよう、自社で人材育成を行う
「自社大学構想」
についてお話いたしました。
- 人手不足の現状を理解する
- 自社大学という構想の事例
- 自社大学構想のメリット
自社で人材を育成できるようになると、求人にお金をかける事なく、会社にとってかけがえのない社員を育て上げる事が可能です。
ぜひ、あなたの会社でも「自社大学」を検討してみてはいかがでしょうか?
この記事が、経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。